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Play By Web『SilverRain』(株・トミーウォーカー)のキャラクター、九堂・今日介のブログ
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TSUNE候補生に描いていただいたゼルとの2ピン「帰り道」に話しをつけて見た。
 どちらかと言うと、この2ピンの前段階か。

 一応、ゼルには先に内容を見てもらって、OKを貰っています。




 大阪市の動物園近くにある、とある地下街。

 噴水広場から少し南側の、単なる荷物の搬入口に見える扉を開いた能力者達の眼前に、忘れられた「新戎地下街(しんえびすちかがい)」がその姿を現した……。(引用:シルバーレインGT/新戎地下街、冒頭分)
 
「けっこう、涼しいね」司式・ゼル(夕刻灯・b42359)がハーフコートの襟元を直しながら言った。
 ここは新戎地下街の中。地上は夏日に届きそうな程、気温が上がっているのにも関わらず、肌寒い程の冷気だ。それは地下ゆえに寒いのか、この地下街に充満している不穏な空気がそうさせているのか。
 そして、同意するように、九堂・今日介(炎の後継・b24557)も手をすり合わせる。
「ツウテンカクノババだっけ?」今日介がゼルに問う。
「違うよ、今日介。マダム通天閣だよ。そんな、ババとか言ったら怒られるよ」
彼らが話しているのは、この新戎地下街に出ると言うリビングデット【マダム通天閣】の事である。この地下街が、まだ客に満ち、光に満ちていた頃に名をはせた占い師であるが凶悪事件に巻き込まれ命を落とした。しかし、その自分の運命さえ、予言していたというマダム通天閣。彼女がこの奥で待ち構えている。そう、運命予報士は言っていた。
 ゴーストタウンの奥へ入り込んでいる二人は、進む度に濃さを増す邪気に彼女の出現を感じていた。
前方に紙が落ちている。
拾い上げる。

――狂気がまちわびている。閉じたままと思うなかれ…。

ふたり顔を見合わせ、うなづく。
暗がりの廊下の角を曲がると突然、シャッターが開く!隙間から、ゴースト達の姿が見える。
「ゼル!」「うん!」このふた呼吸で若い能力者ふたりは瞬時にアビリティを発動させる。
 ゼルのアビリティ、森王の槍――。
 今日介のアビリティ、暴走黒燐弾――。
 ふたつのアビリティが開きかけのシャッターの奥で弾けた。
 ガシャン。完全に開いたシャッター。もうすでにゴーストの姿は無く、残留思念だけが揺らめいている。
 今日介はポケットから小さな麻袋を出し、残留思念に麻袋の中身、詠唱銀をふりかける。
 残留思念が形を成していく。しばらくすると、それは形を固定し、詠唱兵器となった。

「でかいね」

「でかいな」

 目の前には、巨大な鬼棍棒という詠唱兵器が。
とりあえず潰して、詠唱兵器をまた詠唱銀に換えた。こんなもの持ち歩けない。
 しばし進むと、また紙が落ちている。
 
 
――門は試練なり。開きし者に苦難と恩賞を与えん。
 
これが苦難。
広いフロアにいたるところからゴーストの影が伸びる。囲まれているのは明らかだ。そして、強い力を持つ眼光がこちらに向けられている。老婆のリビングデッド。あれがアダム通天閣だろう。
そして、それを迎え撃つ二人。

「ゼル、隠れるな」
今日介の影に隠れているゼル。

「だから、隠れるなって」

「あれはナシだよ、今日介」ありえないという風にゼルは首を横に振る。

 そこまで醜悪な顔をしているのだマダム通天閣は。

「でも、時間たってるわりに原型は、とどめてるぜ」

「原型で、すでにムリ」

 ふたりのいる場所を閃光と共に衝撃はが走る。マダムの水晶から放たれたものだ。
 それを寸で避ける。

「お怒りだ」

「だね」

 散開すると丁度、二人を取り囲もうと近づいていたゴーストたちを今日介とゼルが挟み込む格好になる。
 ゼルがハートの光に包まれる。ヤドリギの祝福だ。
 今日介も自分の装備に黒燐蟲を這わせ強化を完了していた。
 今日介が前に出る。その彼を取り囲んだゴースト達が一斉に攻撃を開始した。すべて避ける事は困難である。被弾しながらも耐える今日介。そこへゼルのアビリティ――吹雪の竜巻が駆け抜けた。魔氷に震え上がるゴーストたちの合間から、光が立ち登る。今日介が発光する巨大な七支刀を掲げていた。
「吹き飛べ!」今日介を中心に爆砕!暴走黒燐弾だ。ふたつの度重なる範囲攻撃でダメージを受けたゴースト達は、魔氷の追加ダメージで砕けるように飛散した。
「――?」
 一瞬、マダムが笑った気がした。
 ――試練。それは、俺たち能力者に、これからも来るであろう未曾有の敵に立ち向かうための力を試すため、マダムはあえて、自分が巻き込まれる未来を受け入れ、リビングデッドになったのではないだろうか。数多くの人たちの未来を予見し、救ってきた彼女だ。それも、考えられなくもない。もしかしたら、彼女は運命予報士だったのかも…。
今日介は、マダムに何か語りかけようとした。が、いきなり腕を掴まれ、宙を舞った。
 空手家のような出で立ちのゴーストに投げられたのだ。
「今日介!」ゼルが駆け寄ってくる。相棒の助けにより立ち上がった今日介は、何重にも取り囲まれた現状を打開するために、先程の推測をすみに追いやった。
 
結局、何も分からずじまいで、マダムは天に召された。
 
「恩賞―――♪」と言ってゼルが持ち上げたのは、数十年昔に使われていただろうウサギのマスコットだ。しかも、でかい。一抱えぐらいはありそうだ。それを持ち帰るために、ゼルは詠唱兵器を全て放棄した。どうやら持ち帰るらしい。
(いや、マダムの言う恩賞は絶対それじゃない)今日介は言葉に出さず、ひとりごちる。
「ここから、出たら、もう日が暮れてるんだろうな」
昼、ゴーストタウンに入ってから、すでに5~6時間が経過していた。今日介はゆっくりと地上へ出るための階段を登る。最後のマダムたちの一斉攻撃でアビリティを使い応戦。すべての力を使い果たしたふたり、奏甲のひとつも残っていない。足取りが重い。
「うわ~~ぁぁ~ぐえ」後ろを見ると、ついて来ているはずのゼルが、階段の下でカエルのようにひっくり返っていた。ウサギと共に。
 
 
苦難。
マダム通天閣よ、これが苦難なのか。
 
日が沈んだ大阪の街をゼルを背負った今日介が歩く。

「ちょっぴり残念だったな」

「なにが」

「ウサギ」

「なぐるぞ」

「うそうそ」どことなく楽しげなゼル。今日介は呆れながらも、先の戦闘で投げ飛ばされた時に駆け寄り、肩を貸し起き上がらせてくれた相棒に礼を言った。

「ありがとう、ゼル」

「え、なにが?あぁ、うん、どういたしまして♪」わかったのかどうなのか、本当のところは分からないが、適当に返事をするところがあるのを今日介は分かっている。
 これでいいんだ。夕暮れの道を歩く。ゼルはずっと今日介の背中で喋り続けた。今日介はそれにうんうん、うなづくだけになっていたのは疲れからだろう。
「今日介がババなんか言うから、怒ったんだよ、ぜったい」
 
 電車のシートに座ると、ゼルのお喋りは止まった。電池が切れたように眠ったからだ。
 今日介は、ひとくちお茶を飲むと、目を閉じ、追いかけるように眠りについた

b24557_pin2_4.jpg
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最近、結社に入った桧山・写楽さんとのやり取り。たぶん、ふたりはこんな場所で、知り合ったんであろうベンチ。そして、こんなことがあったんだろうという話である。

ここの内容は、先に全文を桧山・写楽さんに確認していただいてます。





校舎前広場の一角にお気に入りの場所がある。
 
生徒がせわしなく動く動線から一歩奥に入ったところにポツンとあるベンチ。
 
そこに今日介は座り、ただ時間を過ごすのが好きだった。
 
すでに先客が居た。
 
彼の一学年上、中学2年の桧山・写楽だ。
 
彼女とは、馬が合う。考え方だったり、思想だったりが、こう議論しても喧嘩にならない相手なのだ。
よく、今日介はそれで、喧嘩に発展し、校舎裏に呼び出されているので、この手合いの人物は珍しかった。まぁ、そのあたりは、今日介の変な我の強さも問題あるんだろうが。
 
彼女は今日も本を読んでいた。いつも、違う本をブラ下げ歩いてくる。昼と下校時に違う本を読んでいる事もあるので、毎日何冊かカバンに入れているのかもしれなかった。
 
る今日介は、写楽に話しかけようと近づき、足を止めた。
 
「図解ハムラビ法典」
 
写楽が読んでいるであろう本のケースが膝に置いてある。そのケースには「図解」と大きく書かれており、彼女の読んでいる本を覗き見ると、そこには血みどろな絵図が彩色豊かに描かれている。
 
ケースを見ると「待望のフルカラー」とも書いてあった。
 
今日介は、180度方向転換し歩き出す。
 
「今日介君」
 
写楽が今日介の名を呼んだ。そして、本から目線を放さず、言った。
 
「明日のBC、頑張ろうね~」
 
彼は、おうと返事すると足早にその場を離れた。
 
――やっぱり、女の子の嗜好はわからない。
 
胸中、そう呟く今日介であった。
 
そして、翌日のBCで、今日介は写楽に、にこやかに背中をどつかれるのである。
プロフィール
HN:
九堂・今日介
性別:
男性
職業:
学生
趣味:
モノ作り(デザインセンスはいいらしいが不器用なので思い通りにならない
自己紹介:
 中学2年生。
 21でこの世を去った能力者、真壁・慎司の記憶を拾い、世界結界などの存在を知り、その内在する力に覚醒してしまう。

 今は、ある組織の庇護のもと、「魔法使い」になるべく特訓中。


 背が高く中学生に見られない。甘いものが嫌い。不器用だが、モノ作りが大好き。実家の札幌にはレスラーの父と怖い姉三人


ここで使われているイラストの大部分は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、ここブログの管理人が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は管理人に、著作権は描いた絵師さんに、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有していますので、二次利用はご遠慮ください。
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